概論

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ファンタジー要素が存在する世界の歴史を考証し、社会の在り方を想定する

ゲームにしろアニメにしろ、ファンタジー作品は、我々人類の歴史を根底からひっくり返すような、「前提の変更」があるにもかかわらず、実在の人類社会をほとんど踏襲した世界観を提示しています。これは、その作品がリアリティを重視すればするほど、根本的な矛盾と疑念を呼ぶものです。「テレパシー」が存在する世界では電話は発明され得ず、「ファイア・ブレス」が存在する世界ではドラゴンは家畜化されているはずなのです。


  各要素を詳細に仮定しないと考証は不可能ですが、抽象論において念頭に置いておくべきいくつかの諸相を提出しておきたいと思います。

魔法の存在

・「魔法」は技術発展を加速させる可能性がある
 技術上のハードルを魔法によって解決することで、ブレイクスルーが起きやすくなります。
 例えば、発火魔法の熱コントロールの容易さは冶金技術の発展を加速させるでしょう。これは、産業革命を数百年レベルで早める可能性があります。

・反対に技術革新を停滞させる可能性もある
 魔法によって(安価に)代替可能な技術は、新技術に対する需要を存在しないか非常に薄いものとし、その技術の出現を阻害します。冒頭で例示した「テレパシーが存在する世界における電話の不在」もこれに該当します。電話網が存在しなければ、仮にコンピューター(計算機)が存在したとしてもインターネットは存在し得ないことになります。

・技術レベルが我々の世界における特定時代と同じという世界はあり得ない
 このように、魔法が存在する世界では、技術革新の速度が分野によってかなり偏るはずであり、我々の世界における「ヨーロッパ中世」の技術レベル、というような環境は出現しえないのではないでしょうか。「魔法」が存在する世界では、実力による問題解決手段が魔法に偏ってしまうため、そもそも「剣」が存在しえない……という可能性すらあります。「剣と魔法の中世ファンタジー」とは、その想定自体がそもそも矛盾しているのかもしれません。魔法が存在する世界では冶金技術が奇形的に発展するため、社会制度その他が「中世」にあたる時代においても、魔法使いでない人の主な武装は既に銃器にまで進化しているはずである、と言うように。


異種族(モンスター・非人間系種族)の存在

 知性を持つ生物が1種(「人間のみ」)ではない場合、人間の死生観・哲学・自然に対する考え方が根本的に異なる発展を遂げる可能性があります。「知性」についての認識が相対化され、「知性」を持たない動物(あるいは植物)の利活用の在り方がまるで違ったものになるかもしれません。動植物の利活用は、生命(すなわち食べること)に直結しますので、これは社会構造の在り方そのもの、と言うことができます。


神の実在

 僧侶が起こす「奇跡」は、神が実在することの間接的な証明です。これは、我々の歴史と異なる宗教観をもたらすはずであり、我々の歴史が宗教の影響なくして語ることができないことからも、宗教観の違いは大きく異なる歴史を紡ぎだすはずです。

マジックアイテム

 ゲームで「レア」とされるような希少価値の高い「アイテム」が存在する場合、経済制度の歴史も、我々のそれとは大きく異なるかもしれません。無限の富をもたらすマジックアイテムは、それ自体が国家を形成し、生産活動に従事する者などほとんど存在しない社会を生むかもしれません。